Theory
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  •  ディスクブレーキの原理

    パッドは、金属の板(メタルパッドの場合には、銅メッキ)に、2〜3mmの断熱層、10mm程度のパッド材が積層、焼結されています。 ブレーキングすると、パッド材が溶解して、ディスク・ローターに固着します。 この時にブレーキ機能が発揮されます。固着したパッド材は瞬時に剥離し、ホイール、キャリパーを汚すわけですが、、、、  つまり、ブレーキの機能が発揮されるには、「設定された温度」になる必要があります。 レース用の場合には、耐熱のため(ピストン、キャリパーに熱を伝えない) 、断熱層の素材、厚みが違います。 もちろん、パッド材も違います。

    ブレーキの劣化としては、フェード、ペパーロックが有名です。 ちなみに、現在のパッド材の摩擦係数は、0.55以上の様です。


  •  フェード

    過度の高温の為にレジン樹脂などのパッド材が溶解ではなく、燃焼して、煙、ガスがパッド〜ローター間に挟まれて、摩擦力が低下する現象。 メタルパッド、カーボンパッドでは理論的に発生しません。


  •  ペパーロック

    高温になったキャリパーにより、ブレーキフリュード内に気泡が発生して、油圧(ブレーキ圧力)が低下する現象。DOT4のブレーキフリュードでは、250℃が沸点ですが、汚れたり、吸湿したフリュードでは、250℃以下に劣化しています。  レース用のDOT5では、沸点の高いシリコンオイル系となっています。 製造会社、DOT4/DOT5により、成分が異なるので混合しての使用は厳禁です。 (YAMAHA/ハーレー用と混合するのは、絶対に禁止です。 成分比率/成分が違います)
     一般的には、DOT4で、マスターのカップ内側のエア抜き穴のチェック、 定期的な交換(私は、3,000kmぐらい)がお奨めです。

     

  •  パッドのグレードと材質とバックプレートの材質 

    メタルパッド(シンタードパッド)

    銅(基材:50%〜60%)、カーボン、セラミック、錫、摩擦向上材等を混合し、650℃〜800℃で焼き固めたパット。 焼き固める際に溶着性をよくするために、バックプレートは銅メッキです。 

    1)初期制動が良い
    2)耐摩耗性が良い
    3)雨天時にも制動力が安定している
    4)高温でも安定した制動力を発揮する
     

    レジンパッド

    アラミド繊維(基材、強度が高く、耐フェード性にも優れる)に摩擦調整剤を加え、フェノール樹脂で固めたパット。 金属成分が50%以上の場合には、セミメタリックパットと呼ばれます。

    1)初期制動が良い
    2)耐摩耗性が良い
    3)雨天時には制動力が落ちる
    4)高温でフェードが発生する時がある

    なお、メタルパッド、レジンパッドは、ステンレスローター(SUS410)が最適。 鋳鉄ローターには不向き(ハッドの消耗が早い)鋳鉄系ローターにはアスベスト系が適合する様です。


    レーシング用のパッドは、基本的には、耐熱設計(500℃とか)が強化されています。 逆にいえば、ローター、パッドの温度が低いと効きは悪くなります。 削り出しキャリパー、フローティング・ディスク・ローター、レーシング・パッドが必ずしも、最良の組み合わせではありません。 一般ユーザーでは、 ローター、パッドが低温の状態から、効きが良く、雨天での性能劣化が少ない為、一般公道用のメタルパッドが推奨です。
     シンタードバックプレートが銅を目安にすると判り易いかもしれません。(一部には訳のわからない商品パッケージの説明もありますから)
     また、バックプレートには「英字-2文字」が材質番号と共に刻印されています。組合せで摩擦材の性能を表示しています。 

    金属面の刻印 表示例 グレード AAMVA規格
    D FD 下級  
    E EF 低級 0.25〜0.35
    F FF 中級 0.35〜0.45
    G GG 高級 0.45〜0.55
    H HH 最高級 0.55以上

    現在は、DELTA社(チェコ製)のHHグレードのを愛用してます。 お安いですし、ローターへの攻撃性も低いです。(従って、減りは早いです。 プロジェクトμ、ブレンボ純正の8〜9割のライフタイムの感じです。)
    米国AAMVA(現在は廃会)

     

  •  新品のパッド

     組み付け方は、メンテナンスのページに記述しています。 最初は当たりが出ていないので、鳴きが出る場合があります。 また、メタルパッド系の場合には、高速から、「ガツン」と懸けて、パッド材の表面に焼きを入れておきます。

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