Theory
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  •  進角装置

    エンジンは回転しており、1回転に必要な時間は回転数よって異なります。また、エンジン内での「乱流火炎伝播」は回転数に依存し、低回転では遅く、高回転では速くなります。
    TDC:圧縮上死点で最大の力を発生させる為には、低回転でも高回転での、TDCより前(BTDC)の「ある定時間」に点火する必要があります。 当然、低回転 と高回転では、「回転角」は異なります。 トリガ信号をもらってから、点火する までの「回転角」を変更して、「ある定時間」にする機能が進角制御装置です

    低回転と高回転で、TDCの前(BTDC)の「一定時間」で点火することを考えると判り易いです。
    例えば、低回転では、BTDC:15-degだとすると、高回転では、BTDC:30-degにすると、同じ時間となります。

     
  •  ノッキング

    点火プラグで点火された混合気は「火炎伝播」により点火プラグを中心として、S字に燃え広がります。
    火を着けた処から、広がって行く「野焼き」みたいなものですね。 
    最初は 「表層燃焼」がなされ、燃焼の90%は「乱流火炎伝播」で、最後は燃焼室内の外周部にいたります。外周部の混合気器の温度が低いので、火炎伝播速度が低下し、自然 消火します。 
     混合気が100%燃焼することは無く、必ず、未燃焼ガスが残ります。(混合気の3%程度) 
    外周部に設けられたスキッシュは外周部の混合気を吸入工程だけでなく、ピストンの上昇(圧縮)工程でも攪拌して、温度を上げ、スムーズに燃焼させる為の仕組みです

     スムーズに燃え広がることにより、TDC付近(角速度が一番遅い)での角速度の変化がスムーズになります。ところが、ある条件では、 プラグ以外の場所から勝手に着火(自着火)してしまいます。 そうすると、スムーズに回らなくなります。これがノッキングです。

     
  •  ハイオクガソリン

     乱流火炎伝播の速度はオクタン価では、制御できません。 レギュラーでもハイオクでも同じです。 これを制御できるのは回転数(圧縮速度、流体としての混合気の温度)です。
     
    圧縮比が高い程、ノッキングは起こり易くなります。 ハイオク・ガソリンとは表層燃焼速度の遅い、着火し難いガソリンです。点火初期 において10%程度表層燃焼時間の開始を遅くする為のガソリンです。

    このあたりの資料は自動車関連計測器メーカー(小野測器、高砂製作所など)のHPを見れば判り易い資料を見ることができます。

     

  •  ガソリンの燃焼速度と乱流火炎伝播

    ガソリンの表層燃焼の速度は約0.4 m/sです。 
    (道路に撒いた、極薄く溜まった状態のガソリンを燃やす場合)

    エンジン内の燃焼は乱流火炎伝播が主です
    エンジンの燃焼室内では、混合気の流入速度 100m/s
    ピストンの往復運動速度 10m/s〜20m/s(これはシリンダー中央部、TDCではもっと低い)

    回転数が低い:乱流火炎伝播速度が遅い
    回転数が高い:
    乱流火炎伝播速度が速い
    乱流火炎伝播:一瞬に燃焼するのでは無く、燃え広がる

    この為、
    圧縮上死点(TDC)で、最も「火炎の強い」状態とする必要があります。

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