HID/2008
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HID/2005

  •  HID化の検討 at 2008 
     
  •  HIDの諸特性 (D2にのついてのみ)

    HIDは自動車用以外にトンネル内照明、外灯等でも実用化されています。ここでは、自動車用、特にECE規格99適合のD2R/D2Sバーナーについて記載しています。一部は、D4規格にも言及しています。
     
    動作原理 蛍光灯と同様な放電管であり、フィランメントが発熱・発光するH4ハロゲン・ランプとは動作原理が異なります。 蛍光灯と同じ様に始動時には高い電圧パルスを印加して、放電を開始させて、以降は比較的低い電圧パルスで駆動します。蛍光灯と同じ様に点滅を繰り返しています。 回路はバラスト(AC電源の作成)と、イグナイター(起動時の高圧を作成)から構成されます。 
    規格 HIDには、メタルハライド・ランプと高圧ナトリウム・ランプがあり、自動車用は高演色メタルハライド・ランプです。
    D1 最初の規格:バラストとイグナイターは同一筐体
    D2 最も一般的、電気的特性はD1と同一だが、バラストとイグナイターを別筐体にするとが可能。高演色メタルハライド・ランプであり、ECE規格:カテゴリー99で規格化 
    D4 メタルハライドを使用しない規格、ECE規格としては2004年に策定 
    メタルハライド 水銀化合物
    周波数 数100Hzの方形波
    始動時電圧 数10kVの高電圧パルスを印加して、放電を開始
    始動電流
    (始動電力)
    D2:5.5A~7A(66W~84W)
    定格電圧 D2:85V、D4:42V

     

  •  数10kVの高電圧パルスは何故必要なのか?

    HIDの起動させる、つまりは、放電を開始するには、2kV〜5kVのパルスで充分であるが、自動車用HIDでは、下記のECE規格:99を満たす為に、数10kVが必要です。

     
  •  ECE規格99と、始動電流

    ECE規格:99では、点灯後1秒:25%、点灯後4秒:80%の全光束を出力する必要があるので、始動後、10秒程度までには、定格の数倍の電流を流しています。5.5A~7A(66W~84W)

     
  •  インバータ方式の蛍光灯のように数10kHzでの点灯はできないのか?

    インバータ方式の蛍光灯と同様に数10kHzの周波数での点灯では、音響的共鳴が発生し、ちらつき、立消え、バーナー破損の不具合が発生する。 また、この共鳴周波数はバーナーの計時変化と共に変化するので、共鳴を避けて、高周波数で点灯することは、コスト的に、不可能です。

     
  •  公称寿命時間への疑問

    高電圧での始動を行っている自動車用HIDでも、この公称寿命時間が適応できるのでしょうか? 実は点滅を繰り返すと、公称寿命時間は係数をかけてやる必要があります。詳細は下記に、別途記述。 以外と短いです。

     
  •  光源の比較
     
      HID(D2R) HID(D4) H4ハロゲン
    定格電力 35W 35W 55W/60W
    立ち上げ時の電力 75W MAX 90W MAX 55W/60W
    2次側・定格電圧 85V 42V ---
    2次側・定格電流 0.41A 0.83A ---
    全光束 3,200lm 3,200lm 1,500lm
    立ち上がり:1秒後 定格時の25%以上 定格時の25%以上 規格無し
    立ち上がり:4秒後 定格時の80%以上 定格時の80%以上 規格無し
    色温度 4,500K〜12,000K 4,500K〜12,000K 3,200K〜8,000K
    公称寿命 2000時間 2000時間 300時間

     

  •  HIDの欠点
     
    点灯してから、所定の発光量に達するまで、約3分〜4分(安定時の全光束の80%に達するまでの時間)が必要 バーナー内の温度、圧力が規定値まで上昇する時間
    消灯後、再点灯までには、12分程度が必要(12分間は消灯のままとなる) 点灯している時点では、バーナー内の温度、圧力が高く、点灯(放電を開始させる)する為に必要な電圧が高くなっており、温度、圧力が低下するために必要な時間
    始動電流は大きいが対策は無い 5.5A~7A(66W~84W)

     

  •  オートバイで使用する場合の問題点
     
    対応策 理由
    セル動作時にヘッドライトをOFFにする機能を動作しない様にする 不意のエンジン停止時の再始動時に、HIDを再起動させない為
    防水処理 自動車用HIDの流用、あるいは安価なHIDユニットの場合には防水処理は必須
    防震処理 振動対策

     

  •  HIDの諸特性
     
    設置角度と全光束 設置角度(水平~垂直)による変化は無い
    始動時間 全光束が80%に達するまでの時間:約3分〜4分
    再始動時間 ON --> OFF -->ON の時間:約12分
    立消特性 減少 蛍光灯の様にAC電源の周期でON/OFFを繰り返しています。電圧上昇、電圧低下により、チラツキが発生したり、立消え(OFF、再点灯と繰り返すこと)が発生します。
    立消電圧 2次側電源が定格電圧の70%~80%程度で立ち消え
    瞬停 瞬間的に電源が落ちた場合には、半サイクル以上の瞬停で、立ち消えとなります。 100Hzで駆動している場合には、5mSecの瞬停で、立ち消えとなります。
    電極の消耗 定格電圧範囲より高くても、低くても、電極が消耗して、バーナーの寿命が短くなります。電源電圧が高すぎる場合:過負荷点灯となり電極が損耗、発光管が劣化。電源電圧が低すぎる場合:始動、立消性能などが最適設計から外れるため電極が損耗、使用中に始動電圧が上昇し、始動困難となる。
    残存率 点滅頻度が高くなると、公称寿命時間は低下します。 点灯して10時間連続使用時値が公称寿命時間です。 点滅頻度2倍、かつ、点灯時間半分(2回点灯、5時間ずつの使用)で、公称寿命時間の75%に短縮されます。   乱暴なことを言えば、(10回点灯、1時間ずつの使用)では、10%となり、H4バルブの公称寿命時間より短くなります。

     
    全光束:光源からの全ての(単位:ルーメンス)
    立消え電圧;2次側の電圧であり、バラストには安定化回路が搭載されているので、1次側電源電圧(12V:バッテリーから供給)の電圧低下が、即、2次側電圧の低下、立消えになるものではありません。

     

  •  HIDの故障モードと保護回路

    HIDの故障モードと搭載されている保護回路は以下のとおりです。
     
    回路 動作
    無始動時検出・回路停止機能 点灯スイッチ:ON後、1秒以内の点灯しない場合には、数10kHzの高電圧パルスを停止する。
    停止できない場合には、バラスト、イグナイターの絶縁劣化が起こる
    スローリークランプ検出・回路停止機能 バ−ナーの劣化、寿命末期に微細なクラック等が発生して、封止物質がリークした場合には、回路を停止させる。
    出力短絡検出・回路停止機能 インバーター、イグナイターの回路故障時の検出・回路の停止機能
    防湿機能・防水機能 シリコンを充填して、モールドタイプにする
    耐振動・衝撃機能 通常は、放熱性の確保も兼ねて、オートバイのCDI・イグニッションの様にシリコンが充填されている。 

     

  •  HIDの設置
     
    バラストの設置箇所の確保 フルカウル、あるいは、セミカウルを搭載している場合には、カウル内に搭載が可能、ネイキッドの場合にはライトカウルの裏側に設置。 イグニッション・コイルの場所は推奨できない。理由は高圧配線がステムの動作に合わせて、動き、故障の可能性が高くなるからです。
    バーナー 自分でH4台座、遮光板を改造するなら、D2R、D2Sが廉価、D2Sは遮光が無い。 市販のH4対応バーナーでは、配線一体型で、補修部品としてのバーナーが高価な場合があります。
    Hi/Lo切り替え スライド式Hi/Lo切り替えの場合には車検が可能ですが、台座以降に約50mmの空間が必要です。 Hiがハロゲンの製品(パッシング対応)は車検は通りません
    できるだけ最新のバラスト 上記の保護回路、防水機能等が改善されているので、自作、KITの購入いずれの場合も、できるだけ新しいバラストが望ましいです。 
    遮光板 前、下側に遮光板を設置、BMW純正、あるいはマーシャルのヘドライトのように傘があるタイプでも、下側を遮光しない場合には、対向車への幻惑となります。車検も通らない。  ネジ止めでは経年変化で遮光板の位置がズレます。
    防震対策 ゴムを介して、ネジ止める。 回路部分にシリコンを流し込むか、防カビ剤が配合されていないバスコークなどを充填する。
    防水対策 できれば、ケースに入れてマウントするのが好ましい

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